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病院であったオジチャン・オバチャン

4 病院というのに、ヘンに気取って、かっこつけているオヤジがいる。ワシが見たところ、オバチャン達は、環境にズボッと入れるらしく、いいかっこしいはいなかった。みんな、化粧もせずに、着慣れたヨレヨレのパジャマだか、菜っ葉服だかわからないような、くたびれた格好になっていた。いざとなれば、女は強いという。

ドーデモしなさいよ・・・。うちでバカ亭主や小うるさい孫相手にするより、三食昼寝つき、クーラーがんがんのここの方がよっぽどいい、か。開き直りが早いのだ。オバチャンからは学ぶことが多いぞ。オヤジども。

一方、中年男は、けっこうこんな所でもかっこつけるもんだ。胸に有名ブランドのついた、カッコイイシャツ着て、膝まである、これもブランド物の短パン。色も黒でキメテいる。よく見ればサンダルも革で、しかも黒にコーデイネイト。家でもそんな格好でお休みなさってるの?ないのかい、パジャマっつーもの。

頭は、きのう散髪したばかりという昔はやった慎太郎カット。ここはゴルフ場じゃねえぞ、という感じ。小さな医院の食堂で、申し訳程度に出されたトーストと牛乳だけの昼食を、膝組んで、高倉健になりきって、体をハスに構えて、召し上がっていた。

看護師が何か言っても、オレはなあ、こんな所に来る様な野暮天じゃねえんだよ、な、ネエチャンよ、みたいな、鷹揚というか、バカにしきったというか、そんな風。

その気取った中年のオヤジ、やはり?面会時間に誰も来ない。面会時間が終った後で、一人、食堂の隅で、タバコふかしていた。近くの交差点の信号が、変わるたびに、赤や青の光が、その横顔を照らしている。サビシイネエ・・・。これが男の哀愁だったのかあ。

どこまで行っても、気取ったオヤジなのであった。手術台に上がって、尻まくられたときにも、高倉健でいられたのだろうか。見てみたかったなあ・・・。

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